昨日また一人の患者さんが妊娠38週となり、ノルンを卒業しました。おなかの赤ちゃんも3000グラムとなり、十分な大きさ。あとはいよいよ出産を待つのみです。
ここまでこられて、本当に良かった!本当に頑張りましたね!!
というのも、この患者さんは逆境のなかでも心を折れず、本当にこつこつと頑張っていたから・・・。
ノルンに初診で来られた時、彼女は40歳となっていました。自然妊娠は厳しくなる年齢。ステップアップに備えて体を整えたいと、ノルンで鍼灸治療を開始しました。
しかし、病院での検査を進めるうちに、卵巣に気になる影があることがわかりました。
「初期の初期だから何とも言えないが、卵巣ガンの疑いがある。取り出してみないと、はっきりしないが、摘出することを勧めたい・・・」。医者に言われて、彼女は相当悩んだと思います。
彼女は卵巣の摘出を決心しました。ただしその前に採卵し、受精卵を凍結することにしました。無事に受精卵を凍結。そして卵巣摘出手術・・・。
しかし、これだけでは終わらなかったのです。
さらに、抗ガン剤による治療を数か月にわたって行うこととなりました。万が一ガン細胞が体に残っていると再発の危険が増すからです。
抗ガン剤治療に向き合う間も彼女はノルンに通い続けました。体調を整えて、将来の移植を少しでも早く行えるよう、家庭でのお灸も続けたのです。髪の毛は完全に抜けたようですが、体力の低下や体調の不具合もなく、抗ガン剤治療を終えました。
そして、子宮機能が完全に回復し、お医者さんにもゴーサインをいただき、いよいよ移植・・・。
ガン治療の間もコツコツと頑張り続けた彼女を神様はみているのかな。無事に妊娠し、胎嚢、心拍確認。大きなトラブルもなく週数を積み重ねていきました。
つわりや逆子などのトラブルもなく、心も体も安定した状態で、無事に38週を迎えました。そして昨日ノルンを卒業されました。 おめでとう。
ガンを宣告されたときは、相当なショックだったと思います。赤ちゃんをあきらめても仕方のないくらい心が折れる状況だったことでしょう。しかし、彼女はガン治療の先にある赤ちゃんを信じて、コツコツと毎日を過ごしたのです。逃げることもなく、騒ぐこともなく、ノルンではいつもの穏やかな彼女でした。
彼女と寄り添いながら治療を続ける中で、私もたくさんのことを学ばせていただきました。そして、女性の心の強さ、意思の強さ、新しい命を信じて向き合い続ける心、語りつくせないほどのことを経験させていただきました。
本当にこの日がきてよかったね。あと、もうひと頑張りだよ。出産報告を楽しみにしています。ノルン卒業、おめでとう!!